セルフブランディングの方法 5つのステップ

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才能と恵まれた環境があっても、ブランディングは成功しない

イタリアで始まった「文芸復興」を意味するルネサンスは、14世紀初頭に兆しを見せ、16世紀に興隆を極めました。その中心人物が『モナ・リザ』を描いた画家、レオナルド・ダ・ヴィンチ。ルネサンス期に活躍した画家はざっと100人程度名前が残っていますが、その中でも群を抜いて有名人となり、500年経過した今でも注目されている人物がダ・ヴィンチです。

つまり、ダ・ヴィンチは並居るライバルたちをさしおき、自らのブランディングに成功したといえます。では、ダ・ヴィンチはどうやって自分をブランド化したのか?というのが、今回の記事のテーマです。

レオナルド・ダ・ヴィンチと聞くと、多くの人は「芸術家」や「天才」を思い浮かべます。「天才だから1人で何でもできてしまう、だから成功したんでしょう」と思われたら、それはちょっと安直な見方かもしれません。なぜなら、才能があってもその才能を伸ばす環境に恵まれ、サポートを得なければ埋もれてしまうからです。

とはいえ、環境に恵まれればそれで成功できるかというと、まだ不十分な面があります。自分を売り込むためのストーリーがないと、他のライバルとの違いが見出せず、レッドオーシャン(競合が激しい市場)でのファンの奪い合いとなってしまうからです。

そこで必要となるのが、セルフブランディングの構築です。

セルフブランディングは「5つのステップ」があって初めて成功する

“効果的なセルフブランディング”を構築するには、5つのステップがあります。

①一流になるための習熟時間をクリアする
②芽が出る場所に行く
③権威を利用する
④誰もしないことをする
⑤自分スタイルを貫く

まず最初の「①一流になるための習熟時間をクリアする」から、ダ・ヴィンチの事例を通して解説をしていきます。

ダ・ヴィンチが芸術家を目指し始めたのは、14歳の頃でした。イタリアのヴィンチ村という田舎から、都会のフィレンツェに移って工房に入り修行をするところからはじまります。まず取り組んだことは、自分の専門分野の基礎を徹底すること。絵の具作りから始まり、親方の作品をひたすら模写しました。

技術が認められると、作品の一部分を任せられるようになるのですが、あまりに上手に描いたため、親方は筆を折って絵を描くことをやめてしまったという逸話もあるほどです。

20歳で自分も親方になる資格を手にします。一流になるために必要な時間は1万時間と言われていますが、6年間で、9時〜17時でお昼休憩を挟んで1日7時間費やした場合、ゆうに1万時間は超えます。ダ・ヴィンチは20歳の時点で、一流になるための条件を満たしていたことになります。真面目に1万時間をクリアしていれば、あなたもプロの仲間入りです。

次に大切なことが「②芽が出る場所に行く」です。努力をしていても、自分の芽が出やすい環境を選ばなければ、才能が開花するということはありません。もし今いる環境が日陰ならば、より成長できる環境である日向(ひなた)に移動する必要があります。

実はダ・ヴィンチは遅咲きで、最初から成功していたわけではありません。周囲のライバルがパトロンに厚遇されている中、ダ・ヴィンチは自分の作品がなかなか認められず、30歳までは思うような結果が残せませんでした。

そこで意を決して住み慣れたフィレンツェを離れ、新天地ミラノに移ります。新しいパトロンを求め、自分の才能を評価してくれる人を見つけようとしたのです。自分が努力をすると同時に、環境を整えることが大切です。

①と②は、セルフブランディングをする上での土台となる部分です。ここからがいよいよ、本格的なブランド化のプロセスになります。まず大切なことが、「③権威を利用するです。

ダ・ヴィンチはミラノからフィレンツェに移住した際、1つ大きな利点がありました。それは何かというと、「フィレンツェから来たマエストロ」という肩書きです。(※マエストロ:芸術家に対する敬称)

フィレンツェの中では、ライバルも多かったのですが、ミラノではフィレンツェ出身の芸術家は少なく、文化都市で技を磨いた親方として羨望(せんぼう)の眼差しで見られたのです。しかも、当時フィレンツェには2大工房があったのですが、そのうちの1つで修行をしていたため、それだけ箔がついています。

このような然るべき場所で資格を取ったということがあれば、存分に活用すべきですし、現時点でないのであれば権威として語れるものを今からでも準備しておくとよいでしょう。肩書きを重視する日本社会では不可欠な要素です。

次のポイントは、「④誰もしないことをする」。ダ・ヴィンチが実践した誰もしないこと、それは“万能の天才”ぶりを発揮することでした。

画家は他にもいますが、ダ・ヴィンチはパトロンが抱えている悩みにフォーカスし、戦乱の世の中を攻略するための兵器を発明したり、宮廷の人たちをもてなすために舞台演出家としても活躍していました。

今日でも、メジャーリーガーの大谷翔平選手がピッチャーとバッターの二刀流で大車輪の活躍をしていますが、その人にしかできない魅力は多くの人の心をつかみます。

ただし、同時に複数のことをする以外にも、オリジナルのサービスを1つ生み出すことができれば該当します。似たような競合がいる場合でも、新しさを打ち出したネーミングをつけることで唯一無二のブランドを演出することができます。

最後の「⑤自分スタイルを貫く」も、セルフブランディングを行う上で外せないポイントです。自分の強み・弱みを自覚し、強みにフォーカスをして設計するということになります。

ダ・ヴィンチは、「遅筆」「作品を完成できない」「依頼主の指示を無視する」という欠点がありました。しかし、その欠点を直すのではなく、その裏側にある強み「丁寧に描く」「思考を凝らす」「オリジナル性を打ち出す」を軸とし、最後まで貫きました。

ダ・ヴィンチが500年経った今でも注目をされるのは、これら5つのセルフブランディングに成功していたからであると私は分析しています。ぜひ皆さんも参考にして頂ければ幸いです。

5つのステップを実践して、ブランディングをしよう!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2021年 8月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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