2024年4月4日〜4月9日、京都の四条にある大丸で華道京展が開催され、生花作品を出品してきました。
華道京展は昭和25年からスタートし、今年で75回目!
1万人の動員を目指す、京都最大の生花展です。
実は8年前にも出展していて、その時はもう1人との合作でこのような作品でした。
下部に竹を並べ、その上にかすみ草とオンシジュームをアレンジ。
細い竹の乱舞は、ドリルで穴を開けて取り付ける作業があり、これがなかなか力仕事。
作業慣れしている花屋さんに手伝ってもらっていました。
この時の作品も、何やら惑星のような形で宇宙的な感じがしました。
そして、今回の作品は単独で生けました。こちらです。
私の先生が何十年も前に出展した時に使用していたという特徴的な木を頂き、
今回の作品に再利用させて頂きました。
木の形って、もうそれだけで造形的でアートなんですよね。
どうしてこんな形状になったのか不思議ですが、この木にさらに別の着色した枝を差し込んで融合させました。
以前も別の展覧会で使用した枝だったのですが、今回はその枝に和紙デザインのシールを巻き、
さらにリースの飾り付けで使用している作り物の果物や実で装飾しました。
この二つの木素材を組み合わせることで、
木そのものが持つ美しさ、現代的な装飾の美しさを対比的に示すことができました。
木から連想を飛ばし、シルバーに塗装したクワガタや、ゴールドに塗装したカブトムシ、ヘラクレスオオカブトを忍ばせました。
会場には小さなお子様も親に連れられて来ていたので、まさに手を伸ばして取ろうとするほど注目されていました。
写真には少ししか見えてませんが、私の左隣の作品も木をメインに使用していました。
木のいいところは、花と違って展覧会中に水やりが不要なところ。
日中働いている社会人は、なかなか展覧会の期間中、水を交換しに行くことが難しい。
そのため、このような華道展で木をメインに使うのは賢い手法なのです。
とはいえ、今回は生の花も生けています。
ちょうど木のくぼみを利用して花を入れる容器を設け、そこにバラを生けました。
この容器は奇跡的にジャストフィットして感動しましたが、木に合わせて黄土色に着色をしています。
先ほどは2種の木の対比でしたが、赤とピンクのバラに加え、レインボーのドライフラワーのバラを対比的に
取り合わせています。生の花とドライフラワー、あまり一緒になっているところを見たことがありませんが、
別に共存させてもいいのではないか?という発想です。
さらに、さりげなく、野菜のにんじんとそら豆を生けることで、作品に面白さをプラスしています。
この作品の最大の見せ場は、左後方に添えられている“ある物体”です。
その物体とは、
ダイソンの掃除機です。
子供はこの作品を見るやいなや、「掃除機〜〜〜」と叫んでいましたし、
大人も、「え〜!ダイソンじゃない!?」とびっくりしたり、クスクス笑っていました。
なぜ掃除機を作品に利用したのか?と聞かれましたが、
実は故障してしまい捨てるのがもったいなく、作品に昇華できないか試したみた、というのが最初のきっかけです。
そして、掃除機とはゴミや汚いもの、黒いものを吸う役目を持っています。
そんな掃除機に逆に綺麗な花を咲かせることができたら面白いと思ったのです。
レースフラワーという白い花や葉っぱ、クリーンなイメージのある緑の着色かすみ草を生けています。
ダイソンの掃除機って現代的でビビッドなデザインが特徴的ですよね。見る人が見ればすぐにあれはダイソンだと気づく。
他の掃除機であれば、すぐに掃除機と気づかなかったかもしれません。
そして、掃除機を上に向けて立てかけるとき、私にはなんだかそれ自体が花のように見えました。
ちゃんと水を浸した花器に掃除機を入れています。
汚いものと関連づけられる掃除機を生花作品に利用するというのは、おそらく史上初だったのではないでしょうか。
このような2種の木の対比、生の花とドライフラワーの対比、そして野菜とメカである掃除機の取り合わせ、
このような対比をした構成と意外な組み合わせの融合は、まさにダヴィンチ思考の実践です。
細部に仕掛けが施されているのがダ・ヴィンチ作品の特徴ですが、鑑賞者にいろいろな角度から楽しんでもらおうと
思って試行錯誤した結果の作品です。
トータル的に見て、不思議な造形美を持つこの作品は、宇宙空間にあるような作品だなと感じました。
そこで、「宇宙に咲く花」と命名しました。
展覧会中、作品を見た方がどんな反応をするか後ろで見守っていましたが、
思ったよりも好意的な反応が多かったです。以下にまとめています。
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タイトル:宇宙に咲く花
陶器、dysonの掃除機、流木
レースフラワー、バラ(赤・ピンク)
にんじん、そら豆
着色かすみ草(ドライ)、着色リーフ(ドライ)
着色バラ(ドライ)、着色アジサイ(ドライ)
ペーパーフラワー
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【反応】
アートやな!
斬新!
独創的!
面白い!
えー、掃除機!
ダイソンやん!
世界観がある!
にんじん!
カブトムシ!
クリスマスツリーみたい!
これはこの人にしか作れない
これめっちゃすごい!
1番惹きつけられました!
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私は真のアートの役目は“美”と“驚き”の2つを届けることだと思っています。
ダ・ヴィンチの作品には、やはり“美”と“驚き”の2つが共存しています。
今回の作品が来場者にその2つが届けられたのであれば、これ以上嬉しいことはありません。