レオナルド・ダ・ヴィンチが手本とした師匠(ロールモデル)は誰?【7種類の師匠】

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あなたにとっての“人生の師”は誰?

人生を振り返ってみると、いろいろな先生(師匠)と出会ってきたことに気づかされます。

最初の先生は、幼稚園の先生でしょうか。小学・中学・高校などの学校教育の先生はもちろん、塾に通っていた人は塾講師、何かクラブ活動や習い事をしていた人は、ピアノや書道の先生にお世話になった方もいるでしょう。

学校を卒業して社会人になっても、先生との出会いはなくなりません。海外転勤を任命されて、英会話の先生に習うこともあれば、健康面で不安があり医師を先生と呼んで頼りにすることもあります。

何かのスキルや知識を身につける、問題を解決するなどのために先生に出会うことも必要なことですが、“人生の師”といえるような先生に出会えるとより人生は充実します。今回はルネサンスの芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが手本とした最高の先生(師匠)とはどんな先生(師匠)だったのか? シリーズで何回かに分けて解説いたします。

ダ・ヴィンチが目標にしたロールモデル

1人もくもくと探究を続ける孤高の天才と捉えられがちなダ・ヴィンチですが、実はさまざまな人から学び、まるでスポンジのように貪欲に吸収していました。私は、ダ・ヴィンチには7種類の師匠がいた!という考察をしております。以下、7種類の師匠ですが、今回はそのロールモデル編です。

  •  自由人
  •  名人
  •  【今回】ロールモデル
  •  専門家
  •  経験
  •  聾唖者
  •  自然

あらゆることで才能を発揮し、万能の天才と称されるダ・ヴィンチですが、いったいどうやってそんな人間離れした万能性を発揮することができたのか? 疑問に思う人も少なくありません。その理由は一概に限定できず、複数の要因が関係していると思いますが、実はダ・ヴィンチ以前にすでに万能を体現したすごい天才がイタリアに存在していました。その人物の名前は、レオン・バッティスタ・アルベルティ。

知る人ぞ知る偉人なのですが、ダ・ヴィンチとアルベルティは20年ほど時期が重なっていますので、もしかするとどこかで出会っていた可能性もあります。実際にダ・ヴィンチはアルベルティが執筆した書物を数冊所持していたことが分かっています。ダ・ヴィンチはこのアルベルティという人物を自分のロールモデル(手本)として定め、行動指針にしていました。一体ダ・ヴィンチが尊敬するアルベルティとはどんな人物なのでしょうか?

◆ 元祖万能の天才レオン・バッティスタ・アルベルティ

レオン・バッティスタ・アルベルティは、ジェノヴァ生まれのイタリア人ですが、歴史家のブルクハルトが、ダ・ヴィンチ以前の最大の「普遍人」と評価した、いわゆる元祖万能の天才です。勉強熱心な人で、大学では民法を学んでいました。ところが、勉強のしすぎで健康を損ねてしまい、記憶に負担をかける勉強はやめるよう医師から忠告を受け、今度は数学に打ち込むようになったそうです。自らの著作『文芸の利益と不利益』の中ではこう語っています。

「実際、私は文芸を通して自分でも知識を得ようとしたり、名声を獲得したりできると思うし、そのために辛抱強く勉学の苦労であれ徹夜であれ、あらゆる苦痛や困難に耐えることは、高貴な精神にふさわしいと確信してきたのです」

『文芸の利益と不利益』

勤勉で万物を知ろうとしたアルベルティを見習って、ダ・ヴィンチも知的好奇心を活かして世界の探求を続け、その結果、周囲から“万能の天才”と呼ばれるまでに成長しました。

また、アルベルティは『絵画論』という本を書いています。その中で、身分の低い「職人」として扱われていた画家の地位向上を目指し、画家は地位が保証される“芸術家”であるべきだと主張しました。その姿勢に共感したダ・ヴィンチは、アルベルティと同じように画家の手引書となる文章を書く中で画家の存在を声高に主張。ダ・ヴィンチは死ぬまでに出版できなかったものの、その後、後継者である弟子のメルツィによって『絵画の書』として編纂されました。ダ・ヴィンチの人生は、まさにアルベルティを手本にした一生だったのです。

◆ 手本となる師匠・ロールモデルを定めて成功した有名人

世間で成功して有名になった人も、若い時からロールモデルを持っていた人が多いです。たとえば、女優の橋本環奈さんは、小学生の頃から戸田恵梨香さんに憧れていたと語っています。

「戸田恵梨香さんがすっごい好きで、戸田恵梨香さんに憧れて、小学校6年生の卒業文集で、女優さんになりたいって書いて。戸田恵梨香さんみたいな何の役でもできる女優さんになりたいと書いたんですよ」

『情熱大陸』(MBS・TBS系)2022年3月13日放送

他には、日本代表選手で世界で活躍するサッカー選手、堂安律さんもロールモデルを持っていました。堂安さんは、ゴールを決めると両手の親指と人差し指で四角形を作る独特のポーズをします。ガッツポーズやダンスでもなく、このようなポーズをするのは、サッカー漫画『ファンタジスタ』に由来しています。

この四角形を指で作るポーズは、イタリア代表のFWマルコ・クオーレがするパフォーマンス。堂安選手は、マルク・クオーレのように華麗にシュートを決めるファンタジスタに憧れて、自分も同じポーズをするようになったと言います。

ロールモデルは、実在する人物にとどまりません。架空の人物であっても憧れを感じ、自分も同じようになりたい! と思う人がいれば、努力をする原動力になります。あなたもぜひロールモデルを見つけてみましょう。

次回は、アルベルティをロールモデルにしたダ・ヴィンチが具体的に実行したことをご紹介したいと思います。お楽しみに!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2022年 8月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 


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