読書3.0〜天才ダ・ヴィンチの読書術 後編〜[ 天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意 ]

目次

天才ダ・ヴィンチの学習姿勢

前回の天才ダ・ヴィンチの読書術、前編、中編に続き最後の後編です。前回までの記事が気になる方は、ぜひ前編、中編もお読みください。

あわせて読みたい
読書3.0〜天才ダ・ヴィンチの読書術 前編〜 【】 世界一有名な絵画『モナ・リザ』を描いたダ・ヴィンチは、500年前の社会では入手困難だった本を大金はたいて購入するほどの読書家でした。しかし、最初から読書...
あわせて読みたい
読書3.0〜天才ダ・ヴィンチの読書術 中編〜 【】 前回の天才ダ・ヴィンチの読書術 前編 の記事では、「読書1.0」、「読書2.0」、「読書3.0」の違いについてご紹介しました。 https://davincist.com/davinc...


ルネサンスの万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは一体どんな本を読んでいたのか? 

ダ・ヴィンチは、わからないことがあれば、まず自分で実験をして立証しようとするタイプの人間でしたが、同時によくわかっている人に聞いて問題を解決していました。

自分でできそうなことは、自分の目と耳で確かめて実行する。できそうにないことや、まったくわからない分野は、素直に専門家に意見を伺って吸収をする。両方のバランスが絶妙だったのが、彼のノートから見えてくるダ・ヴィンチの実像です。

「人の意見を聞かずにひたすら実行する」、「人の意見を聞いてばかりで実行をしない」、このどちらかに偏ってしまうと物事はたちどころに行き詰まってしまいます。自分の状況を客観視して、バランスをとっていきたいですね。

ダ・ヴィンチは、時に書物に答えを求めました。今回の記事では、どのような本を読めば私たちの人生がより豊かになるのか、ダ・ヴィンチに学んでみたいと思います。

ダ・ヴィンチが読んでいた本のジャンル

さて、本題に入ります。あの天才ダ・ヴィンチは一体どんなジャンルの本を読んでいたのか。だいぶ昔の人なのに、読んでいた本なんてわかるんですか?と思う方もいるかもしれません。幸い、ダ・ヴィンチは蔵書リストをノートに書いていたので、読んでいた本の傾向を知ることができます。

とはいえ、ダ・ヴィンチは100冊以上、たくさん本を読んでいました。大きく分けるなら「自分が深まる本」「自分が広がる本」の2種類に大別できます。

「自分が深まる本」とは、哲学書や格言集、古典や専門書などを指します。

ダ・ヴィンチの蔵書リストの例でいうと、

「アリストテレスの問題集」
「アルベルトゥス・マグヌスの哲学」
「徳の花(格言集)」
「哲人伝」
「バッティスタ・アルベルティの建築論」
「水に関するフィロンの書」
「大気変化論」
「プトレマイオスの宇宙論」

などが該当します。哲学や考えさせられる格言で人生の指針を見つけ、専門書で自分の仕事への理解も深めていく。自分軸を築くための読書をしています。

一方「自分が広がる本」とは、海外や語学の本、異分野の本、小説、教養に関する本を指します。たとえば、ダ・ヴィンチであれば、こんな本を読んでいました。

「世界年代記」
「ラテン語教本」
「大版の植物標本集」
「オウディウスの変身譜(小説)」
「美食論」
「スコトゥスの人相学」
「健康保持論」
「珍宝論」

などです。個人的には「美食論」や「珍宝論」がどんな内容の本だったのか気になりますが、いつの時代でも美味しいものと綺麗なものは万人をとりこにしますね。

哲学書や専門書は深く掘り下げる役割を果たしますが、それだけだと視野が狭くなります。そこで、自分の専門とはまったく関係がない本を読んでみたり、ふらっと本屋さんに立ち寄って、たまたま見つけた気になる本を読んでみることもおすすめです。

AMAZONで本を購入する場合は、自分で検索したり、購入履歴からおすすめの本が紹介されますので、それだと予期せぬ本との出合いがあまりないかもしれません。図書館に行ってみれば、きっと掘り出しものの本との出合いがあるでしょう。

ダヴィンチは40歳過ぎてから語学勉強を始めた

ダ・ヴィンチは、40歳を過ぎてから本格的にラテン語、語学を学び始めたのですが、ルネサンス時代にはラテン語でしか読めない本も多くありました。自分の世界を広げるために語学も勉強していたのです。何歳からでも勉強を始めるのは遅くないことを教えてくれますね。

今日では、多くの海外の本が日本語に翻訳されてますので、ダ・ヴィンチのように語学に苦労せずとも海外の本に親しむことができます。現代に生まれたことに感謝して、海外の人が書いた本も読んで、視野を広げていきたいものです。

また小説を読むことも、ストーリーの主人公の気持ちを追体験することができるので、人間の心の機微をつかむ上でも役に立ちます。どんな小説を読めばいいかわからない方は、「本屋大賞」を受賞した話題の小説を読むことをおすすめします。「本屋大賞」は、全国の書店員さんが選んだベスト小説なので、ハズレがないことが多くて楽しめます。

本屋大賞HP
https://www.hontai.or.jp/

年度ごとの過去受賞作一覧もありますので、ぜひ気になる方はチェックしてみてください。

ダ・ヴィンチ流読書・実践法

さて、最後にダ・ヴィンチ流の読書をするための実践方法をお伝えします。
具体的な本の読み方については前回の中編でお伝えしました。今回は本棚に着目します。

読書法なのに本棚? と思われるかもしれませんが、戦略的な本棚を構築することで、ダ・ヴィンチのように、「自分が深まる本」、「自分が広がる本」を意識的に読むことができる手法です。

本を読んだら、とりあえず本棚にしまうのが普通です。しかし、本が多くなるとどこに読んだ本を入れたか忘れてしまいますし、何より自分が読んでいる本のジャンルのバランスを把握できません。そこで、本棚に予めテーマを与えます。

たとえば、これは私の本棚です。ごく普通の6つにわかれた縦長の本棚ですが、実は正面の縁だけ、赤・青・黄・緑・オレンジ・黒と、絵の具で塗って色分けをしています。

「自分が深まる本」として、上2段は人生を豊かにする考え方の本や、仕事に関する専門書を入れ、3段目からは、「自分が広がる本」として異分野の本、健康、教養、小説としています。このように設定しておくことで、バランスよく本を読もうという意識が生まれます。実践手順は、

① 読みたい本のテーマを決める
② いったん本棚に入っている本を全部出す
③ テーマごとに本を分類し、何回も読みたいレベルの本を本棚に入れる

本棚を定期的に見直して、テーマを再設定したり、本の入れ替えをしてみるといいでしょう。面白いなと思った方は、ぜひ実践してみてください。

今まで読んだことがないジャンルの本を読んでみよう!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2022年 10月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次