アインシュタインとダ・ヴィンチの共通点【コミュニケーション3.0 ユーモア編】

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2人の偉人の共通点、知ってますか?

レオナルド・ダ・ヴィンチとアインシュタイン、2人に共通点があるとすればそれは何だと思いますか? 2人とも「天才」として歴史に名を残していますが、彼らの言動を追ってみると、意外な共通点が見つかりました。それはユーモアセンスを大事にしているところです。

アインシュタインは次のように言っています。
「昨日は偶像化され、今日は憎まれ痰を吐かれ、明日には忘れ去られ、明後日は聖人に列せられる。唯一の救いは、ユーモアのセンスだけだ。これは呼吸を続ける限りはなくさないようにしよう」

世間から注目される人になればなるほど、一挙手一投足、何かにつけて批判をされ、さらには誹謗中傷にまで発展するのは、今日だけのことではなかったようです。

ダ・ヴィンチには、生命の神秘を明らかにし、そして人体を解明することで人類に貢献しようという解剖学者の一面がありました。善意の気持ちで解剖実験に夢中になっていたダ・ヴィンチでしたが、「あいつは危険な黒魔術をやっているにちがいない」と嫌疑をかけられ、教皇に密告されてしまいます。そして、解剖を続けることを禁止させられてしまったのですが、ダ・ヴィンチは憤慨してこうノートに言い残しています。

「解剖の妨害者に対して、弾劾論を書け」

弾劾とは、「罪や不正を調べ上げて公開し、責任を問うこと」ですが、自分になすりつけられた疑惑を逆にはね返し、妨害者に対して真偽を明らかにしようとする強い姿勢を感じます。

不正義な人に対しては断固として立ち上がる姿勢があったのがダ・ヴィンチでしたが、いつも気張ってばかりでは人間疲れてしまいます。そんな時に自分自身を救う言動がユーモアではなかったかと思うのです。

ダ・ヴィンチのブラック・ユーモア

ダ・ヴィンチは膨大なノートを人類に残しました。自分が考察したアイディア、スケッチ、発明、絵の下書きなど、その内容はバラエティに富んでいますが、格言やユーモアセンスに溢れた言葉も残しています。ダ・ヴィンチのユーモアはどこかブラックジョークに近いニュアンスがこめられています。例えば、こんな言葉があります。

「ある司祭が、聖土曜日に自分の信者がいる地域をまわって、いつものように家ごとに聖水をかけていくうち、たまたまある画家の部屋に入った。そこでもその水を絵の上にふりかけたので、その画家は後を振り向いて、ややむっとしながら、なぜ自分の絵にそんなお水をかけるのか、と言った。すると司祭は、こうするのが慣習じゃ、こうするのが自分の義務じゃ、自分はよいことをしたのじゃ、よいことをする者はよいこと、否、一層よいことを期待すべきなのじゃ、神様がそう約束されたからじゃ、地上でなされたあらゆるよいことは、天上では百倍になって返ってくるじゃろう、と言った。

すると画家は、相手が表に出てくるのを待ち構えて、窓の上に乗り、その司祭の頭へ大バケツ一杯の水を浴びせた。こう言いながら。さあ、天上から百倍になって来ましたぜ。あんたは、お水でわしの絵を半分台無しにしてくれたが、その聖水であんたがわしにしてくださったよい行いから生じるとおっしゃった通りでさあ」

※出典:アトランティコ手稿

ここで語られる“ある画家”とはダ・ヴィンチ自身のことを言っているのかもしれません。ダ・ヴィンチは無神論者や異教徒と言われていますが、ストレートに批判をするのではなく、このようなユーモアのあるストーリーで伝える方が、面白みがあると感じていたのでしょう。こんなテイストの文章をたくさん書き残しています。

海外では、特に異性を選ぶ際に、ユーモアセンスの有無が判断基準になっていると聞きます。洋画でもユーモアのある会話をよく聞きますよね。ではどうすれば、私たちもユーモアある会話をすることができるのでしょうか?

ドイツ人が言った耳を疑う一言

ドイツのミュンヘンを旅行していた時のこと。最終日にとある観光名所を訪れ、ゴロゴロ転がしていたトランクケースをフロントに預けようとして、受付の人に英語でこう尋ねました。
「荷物預かって頂けますか?」

すると、その受付のドイツ人女性の方は私に言いました。
「もちろんです。……、ボンビングは持っていますか?」

私は意外な切り返しに、何を言われたのかと思い、思わず
「ボンビング???」
と聞き返していました。

単語の意味がわからなかったと思ったその女性の方は、ほっぺたを膨らませ、両手を内から外に広げてこう言いました。
「ブン、ブワァ〜〜〜〜〜〜!」

私はそのジェスチャーを見て意味を悟りました。つまり、ボンビングとはBombing。「爆弾」のことだったのです。

これはもちろん、私が犯罪者だと疑って聞いているのではなく、明らかにわざと聞いています。それが表情から伝わってきました。

ユーモアのある言葉を発するためには、まず必須条件として相手を楽しませようという心の余裕が必要です。そして何よりも、どうせ同じ時間を過ごすのなら、自分の人生を少しでも楽しく過ごそうという、自分に対して楽しみを見出す心がけが必要なのではないかと思います。

この「相手と自分を楽しませる意識」がないと、普通なら「Yes」や「Sure」と一言だけ言って終わってしまいがちです。それは職務をこなしてはいますが、自分の人生を楽しんでいるとは言えませんし、相手に不快な印象を与えないまでも、楽しさが届くことはありません。

反対にまさかこんなことを聞かれると思わないユーモア発言をすることで、このドイツ人女性のように、私の心の中に10年以上たっても忘れないエピソードとして刻まれているのです。

実際、ユーモア発言ができる人はごく少数派。特に日本人は少ない。だからこそ、ユーモアのある会話を発揮できれば、相手にとって一生忘れられない人になれるのです。

ユーモアは最強の潤滑油!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2022年 2月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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