トルコ石の原産地に学ぶ孤独と成長と創造性【 宝石偏④】

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夢を実現する上でもっとも大切なこと

前回は、未来の自分を最強にする方法について、オパールを通してお伝えしました。
今回のテーマは、夢を実現する上でもっとも大切なことについてです。
そして、このテーマに見合う宝石はトルコ石。ターコイズブルーの宝石で、きっと一度は見たことがあると思います。

実はこのトルコ石ですが、偽物も出回っているため注意が必要だそうです。ただ、注意をすると言っても、なかなか本物と見分けがつきにくいのも厄介なのだとか。
ちなみにトルコ石の価値は見た目の色によって決まります。色が薄いものや緑寄りだと価値が下がります。もっとも理想的な色合いは、「ロビンズ・エッグ・ブルー」という青色です。

ロビンというのは鳥の名前です。
顔から胸にかけてオレンジ色が特徴のかわいらしい鳥なのですが、生息地はヨーロッパなので、私も実物を見たことはありません。

このロビンが産む卵、それがこんな驚くべき色をしています。

あざやかな青色の卵。当たり前ですが画像補正はしていません。卵というと、私たちは白や茶色に慣れ親しんでいますから、非常に美しく感じますね。
一説によると、この鳥の卵の青は青空の色なのだと考えられています。
ロビンは木の高い位置に巣を作るのですが、そこは光が卵に反射しやすい場所です。青空と同化する青い卵ならば敵から狙われにくいから、この色になったのだと言われているのです。

美しい「ロビンズ・エッグ・ブルー」の色をしたトルコ石が最高品質。高級宝石店ティファニーの「ティファニー・ブルー」の由来になった色とも言われています。

トルコ石は孤独から生まれた?

ではトルコ石はどのようにしてこの世に生み出されたのでしょうか?
トルコ石という名前なのでトルコが産地と思われがちですが、実はトルコでは採れません。ペルシャの砂漠で採れたものが、トルコ経由で地中海地方へ持ち込まれたことにちなんで、トルコ石と呼ばれるようになったそうです。

砂漠で宝石が産出される。あたり一面見渡しても砂しかない。トルコ石はそんな場所で生成されるのです。それは私たち人間に置き換えると「孤独な環境」を意味します。コロナ禍では人とリアルで会うことが少なくなり、寂しさを抱える人が増加しました。政府も孤立対策を検討したりと【孤独】が問題視されています。

孤独と聞くとネガティブなイメージがありますが、孤独をポジティブに捉えている人も沢山います。例えば、芸術家の岡本太郎さんの言葉をまとめた本『孤独がきみを強くする』(興陽館)には、

「孤独はただの寂しさじゃない。 人間が強烈に生きるバネだ」

引用:『孤独がきみを強くする』

とあります。芸術や哲学もみんな孤独が生み出してきたと語っています。

詩人のゲーテも、

「才能は孤独のうちに成り、人格は世の荒波にて成る」

と言っています。

万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチもやはり同じことを言っています。

才能を育てるためには、あなたは孤独でいる方がいい。
特に考えに集中しているときはなおさら。
考察したものを常にイメージすることによって、
しっかりと記憶ができるから。
もしあなたが1人なら、あなたのすべてがあなたのものだ。
ところが1人でも連れがいれば、あなたは半分になる。
付き合いが増えれば増えるだけ、あなたは何もできなくなる。
つまり、もしあなたが大勢の人と一緒にいればいるほど、
不自由な人生を送ることになる

これを読むと、さぞダ・ヴィンチは人を寄せつけない孤高の天才だったんだろうなと思ってしまいますが、実はそうではありません。

ダ・ヴィンチは、今、自分はこの人と会う必要がある!と感じたら積極的に会いに行っていました。ここでダ・ヴィンチがアドバイスしていることは、人と一切、会うなということではなく、ダラダラと無目的に時間を浪費するような人との過ごし方はやめておきなさい、ということです。

私は大学生になった頃、大学デビューに憧れてテニスサークルに入りました。コートで一通りテニスを終えると、メンバーは「アフター」をするために場所を移行します。「アフター」というのは、特に何の目的もなくサークルの人が集まり、適当な会話を楽しむという時間です。

最初のうちは新鮮なのですが、慣れてくると同じメンバーで段々話すことがなくなってきます。何か目標に向かっている集団なら方向性があり、語り合うテーマがありますが、このメンバーでのアフターにはヴィジョンがありません。私は時間がもったいなく思えて、3ヶ月でサークルを辞めてしまいました。
ダ・ヴィンチが言うように、周りに合わせることで自分を見失う経験をしていたのです。

孤独は自分と向き合う時間

話は少しそれますが、2020年1月に開催された「サカナクション山口さんと読み解く『レオナルド図鑑』」という講演会に行って来たのですが、その中で山口さんがダ・ヴィンチから影響を受けたお話が印象的でした。

山口さんは、歌詞を考えるのに半年や1年という時間をかけるそうです。接続詞1つ取っても、2ヶ月くらい迷う時があるといいます。
「常に考えているので邪魔をしないで欲しい、だから友達がいなくなってしまう。ダ・ヴィンチも友達が少ない。友達が多い人は信用できない」と言っていました。

さらに、山口さんは、メールは暴力だと思うとも語ります。
「会話は飛んでくるボールが分かる。
メールはいきなりボールが飛んでくる。
何で投げ返さないのかと言われる。それが暴力」

SNS社会に生きている私たちは、連絡を受信する窓口をたくさん持っています。電話、スマホメール、LINE、ブログ、Facebook、Twitter、Instagram…。
このような他者からの洪水のごとくやってくる情報を間に受けていると、自分の時間を持てず、本当は発揮できたはずの創造性を失ってしまいます。

夢を実現する上でもっとも大切なこと、それは自分自身の時間である孤独タイムをしっかりと確保することです。
ビル・ゲイツも、1年間に2週間は1人の時間を確保していると言っていました。孤独時間が増えている昨今、ぜひ良い方向に生かしていきましょう。

次はいよいよ宝石シリーズの最後、タンザナイト編です。

孤独をポジティブに捉えて、自分を磨こう!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2021年 5月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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