自分にフォーカスする重要性
前回は、あなたの成長速度を最速にする方法について、ダイヤモンドを通してお伝えしました。倍速で成長するには、実力と指導力を合わせ持つ師匠が大事というお話でしたが、今回は他者ではなく、自分にフォーカスをします。
テーマとなる宝石は、オパール。
私が初めてオパールを知ったのは、小学生の頃。オーストラリアに行ったことがきっかけでした。オーストラリアといえば、白い砂浜にエメラルドグリーンの海、カンガルーやコアラ、先住民のアボリジニなどが有名ですが、私をもっとも魅了したのは、虹色のきらめきを放つ宝石オパールだったのです。
世界にこんな美しいものが存在するのかと感動しました。
あまりに印象的だったためか、小学生の私の趣味は「石コレクション」になったほど。日本でも海沿いに行くとまれにキレイな石が見つかるので、それを収集していました。それほどキレイな石の存在に心を惹かれたのです。
ところで、このオパールってなんでこんなにキレイなのでしょう?
どうしてこんな風に七色の光を放つのか、ご存じでしょうか。
オパール誕生のプロセスを調べてみたところ、『二酸化ケイ素を豊富に含む温水が堆積岩に作用して生じる』とあります。
堆積岩とは読んで字のごとく、水や風によって運ばれた石、砂、泥や鉱物、生物の死骸、火山噴出による土砂や溶岩といった、様々な堆積物が積み重なってできた岩のことです。堆積物の中には貝殻や恐竜の骨が含まれており、それらが年月を経てオパール化した事例も報告されています。
貝殻や恐竜の化石が、七色に輝くオパールに変化したというのはちょっと意外で驚きですよね。化石とは、言うなれば「過去の蓄積」です。私たちも、自分が体験してきた「過去の蓄積」をうまく利用すれば、オパールのように光り輝かせることができるのかもしれません。
点と点をつなげる
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが「点と点をつなげる(Connecting the dots)」 のスピーチをしたことは有名です。
スティーブ・ジョブズは、大学でカリグラフの講義を受け、そこで「美しく見える文字」について学んでいます。その時の経験が10年後にマッキントッシュを開発する際に役立ち、美しいフォントを持つ最初のコンピューターが誕生したのです。
美的感性を磨くことが、のちに世界中の人が利用するアイフォン誕生にもつながっていきます。
スティーブ・ジョブズは、スピーチの中で、このように言っています。
「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。
だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います」
今やっていることが、後でつながってくることがある。過去の経験をいかにつなげ、今に生かす工夫をするかが大きな成功の要因になりえます。
ソフトバンクの創業者である孫正義さんは、スティーブ・ジョブズについて、「彼は芸術とテクノロジーを両立させた人物。現代のレオナルド・ダ・ヴィンチだった」と評しています。
ダ・ヴィンチこそ、後でつながってくるなど考えずに、ひたすら点を四方八方に打ち続けた人物です。ダ・ヴィンチは最高の芸術は絵画であると主張し、亡くなる間際まで『モナ・リザ』に手を加え続けていました。
『モナ・リザ』はアートでありながら、そこには様々な科学が盛り込まれています。解剖学、遠近法、光学、その他、彼が人生で学んだすべてが1枚の絵の中に凝縮されているのです。
最近の身近な有名人を例に出しますと、女性芸人のゆりやんレトリィヴァさんも、過去の点を上手に融合させてつなげています。
ゆりやんレトリィヴァさんは、2021年のR1グランプリで優勝しました。最近では、36kgの減量に成功したことも話題になったので、それを覚えている方もいるでしょう。2017年に、NHK上方漫才コンテストで優勝、女芸人No.1決定戦THE Wで優勝、さらにアメリカのオーディション番組にも出場し、会場を笑いの渦に巻き込んでいます。
私が個人的に好きなゆりやんレトリィヴァさんのネタは、授賞式スピーチというネタで、アメリカ人女優になりきって英語で面白くスピーチするというものです。
Youtubeにも動画がありますので、よろしければぜひ見てみてください。流暢な英語を話されるのですが、大学時代に映画研究会で洋画を見て英語を勉強したそうです。
他にもハリーポッターの音楽をピアノで弾くネタもありますが、過去に身につけたピアノ演奏という特技をここでも生かしています。まさに点と点をつなげて大舞台で披露し、度重なる優勝という功績をおさめました。
私たちも日々いろいろなことに取り組む中で、「今やっていることが一体何になるんだろう?」と、そう思うことがあるかもしれません。
でも、あなたの情熱が今、そこに向かっているのなら、先のことを考えすぎずに自分のものになるまで打ち込んでおくべきです。たとえそれが本業にならなかったとしても、ゆりやんレトリィヴァさんの英語スピーチやピアノのように、後で別の形でつながってくることがあるからです。
あなたの中にも、ひそかに眠っている潜在的な資源があるかもしれません。昔、熱中していたことで使えることがあるなら “今” に生かしてみましょう。
ちなみに、私が今、書いている「5つの宝石が教えるあなたがさらに輝く方法」。
このシリーズは、2011年、今からちょうど10年前に、ある勉強会でプレゼンした内容が元になっています。
当時、投稿していた記事を読み返すと、「この話を他の人にも伝えて欲しい」というコメントがあったのです。それで今回、バージョンアップして投稿してみることにしました。
このように、意外と自分の資源は眠っているものなのかもしれません。
さて、次回はトルコ石について書きたいと思います。
旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン 2021年 5月 公式掲載原稿
現:挑戦者たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/)