レオナルド・ダ・ヴィンチとスティーブ・ジョブズの「3つの共通点」

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あの孫正義さんも、こう着目している

言わずと知れたアップルの創業者、スティーブ・ジョブズ。Macでおなじみの洗練されたパソコンや、携帯電話を一新させてスマートフォンを生み出した功績は、世界中に影響を与えましたよね。

彼の死後もその偉業は語り継がれています。そのスティーブ・ジョブズと、ルネサンスの万能の天才ことレオナルド・ダ・ヴィンチには「3つの共通点」があるのです。これが今回のテーマとなります。

ソフトバンクの創業者、孫正義さんは、次のように言っています。

「レオナルド・ダ・ヴィンチは、テクノロジーとアートをクロスオーバー(互いの境界を越えて交じり合うこと)させた。当時、最強のテクノロジーだった医学、物理、化学を操る頭脳を持ち、『モナ・リザ』のようなアートまで描いた。
アートとテクノロジーをクロスオーバーさせた最強の1人目がダ・ヴィンチだとすると、2人目はスティーブ・ジョブズだと思います。単なる電化製品はたくさんありますが、アートと呼んでいい初めての製品がiPhoneだった。」(※出典:「ソフトバンクキャリア LIVE2018」)

機械は正確に作動して機能を果たせば、ひとまずは合格点です。しかし、さまざまなメーカーが似たような製品を生み出せる現代では、機能プラスαの価値が求められます。

たとえば、カメラの画素数が上がったり、写真を撮る時に望遠撮影が可能になるというのは、“機能的価値”です。

一方、「かっこいい!」や「かわいい💛」などの感情を満たしてくれる要素は“情緒的価値”と言われます。スマートフォンは、名前の通り「スマートでカッコいい!」という情緒的価値を体現しています。

レオナルド・ダ・ヴィンチも、500年近くも前から同じような構想を持っていました。例えば武器である槍斧(「そうふ」と読む。槍と斧を一体化して長い棒状の柄をつけた西洋の武器)をデザインした際、このようなスケッチを描いています。

※出典:「アシュバーナム手稿 槍・斧のデザイン」

槍や斧は戦いで使われるものなので、相手を倒すという機能さえ満たせばよいものです。しかしダ・ヴィンチはイマジネーションを働かせて、アーティスティックに仕立て上げました。いわゆる“機能的価値”と“情緒的価値”を現代に先駆けて両立させています。似たような製品で溢れかえる現代社会では、いかに“情緒的価値”で差別化できるかが大きなポイントです。

シンプル イズ ベスト

携帯電話と比べてスマートフォンの最たる特徴は何かと考えてみると、それはボタンがないということでしょう。最初は画面下部に1つボタンがありましたが、最近のモデルではついにボタンがなくなりました。ボタンがないと不便ではないかと思っていましたが、慣れるとなくても問題なく操作ができています。

ところで、昔のアップルのロゴマークをご存知でしょうか? りんごのマークで有名ですが、初期のロゴマークは、「ニュートンがリンゴの木の下に座って本を読んでいるところ」という複雑なデザインでした。

それがシンプルなリンゴのデザインへと変遷。アップルに限らずスターバックスなど他の名だたる企業のロゴも、無駄な要素が剥ぎ取られてシンプルな方へと向かい現在に至ります。それは、シンプルが1番メッセージが伝わるからでしょう。

実はレオナルド・ダ・ヴィンチも、シンプルを意識していました。たとえばダ・ヴィンチが人物画を描く場合、気をつけていたことがあります。それは、なるべくシンプルな服装にすること。ルネサンスの同時期の画家が描いた作品は、指輪や首飾りなど、ゴデゴテとした装飾品をつけた人物画を多く見かけます。

一方で、ダ・ヴィンチは『モナ・リザ』がそうであるように装飾品はなく、身につけていても最低限度に保っています。これは派手な装飾品をつけることで、その人本来の美しさが霞んでしまうと考えた結果です。

『モナ・リザ』の微笑みが引き立つのも、シンプルな佇まいが影響しているからではないでしょうか。

人生の最後を想定する

人類に偉大な功績を残した2人ですが、他にも共通する考え方がありました。それは死を見つめることです。

スティーブ・ジョブズは、毎朝自分にこのように問いかけたというのは有名な話です。「もし今日が人生最後の日だったら、僕が今からすることをしたいと思うだろうか? その質問に対してあまりにもノーが続く毎日なら、それは何かを変えないといけない証拠だ。」

ダ・ヴィンチの言葉も紹介しておきましょう。
「『生』について学ぶつもりだったのに、『死』を学んでいるのだろうか。」
(※出典:「アトランティコ手稿」)

最近、朝日新聞に次のような中学生の投稿が寄せられました。
「死んだらどうなるんだろう。私はよく、そんなことを考える。天国や地獄という死後の世界が本当にあって、そこで存在し続けられるならそう願いたい。けれども、死によって私の意識も、心も、何もかもが永遠に消え失せてしまうとしたら・・・・・・。(中略)死は、この世で命を授けられた生き物すべての宿命なのだと、改めて思う。生きるということは、死へ近づいていくこと。恐ろしいが、しかしそれに気づいたからこそ、この命を何かのため、だれかのために使い切りたいとも思う。死ぬ時、私は十分頑張ったと思えるような人生にしたい。そのために私はどうしたらいい? 答えを見つけるべく、いまこの時を生きていこうと思う。」
(※出典:2022年2月7日 朝日新聞 「声」)

若くして人生を真面目に凝視し、気づきを得たこと。それはとても素晴らしいことだと感じます。

実は私ごとですが、この記事を書こうと思ったのも、高校時代に仲のよかったクラスメートの訃報を今朝受け取ったからです。彼はステージ4の末期ガンを患っていましたが、昨年末に見舞いに行ったときは会話もしっかりできるほどにまだ元気でした。

同級生と直接話した最後の会話で、忘れられないメッセージがあります。
「自分は夢を果たしたからやり残したことはないんだ。でも、桜川はまだあるよね。それをぜひ果たして欲しいな。」

長く生きると、否応なく他人の死に接する機会と遭遇します。自分と近しい人であればあるだけ悲しいことですが、同時に、自分の生きる目的、使命は何かを自問自答する機会になります。

私にはまだ伝えられていないダ・ヴィンチのメッセージがあります。時間は有限。友との約束を果たすべく邁進(まいしん)する1年にしていきたいと思います。

以上、ダ・ヴィンチとスティーブ・ジョブズの3つの共通点についてご紹介しました。いずれも本質を突いた天才たちのメッセージだったのではないでしょうか。参考になれば幸いです。
ではまた!

成功したければ、天才たちの知恵に学べ!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2022年 3月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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