桜川 Daヴィんちが大統領に直接した「一生に一度の質問」から学んだこと

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いい質問は、いい人生をつくる

私が最近出合った言葉、「いい質問は、いい人生をつくる」

「朝6読書会」という読んで字のごとく、朝6時から読書会をオンラインで主催されている中林久さんは、「あなたの人生に今もっとも重要な質問は何ですか?」と、自分に問いかけることを勧められています。

気がつけば今年も年末が見えてきましたが、どんどん飛ぶように時が過ぎ去る人生において、「今」この瞬間を見つめることは大切なことです。このような深い質問を自分に投げかけることで、本当にしたいことが見えてきます。

前回は、天才レオナルド・ダ・ヴィンチが、他人や自分に質問をすることで、圧倒的な自己成長をしていたという事例と、質問にも3つのレベルがあることをご紹介していました。

今回は、私のある質問経験を通して、学んだことをシェアしたいと思います。

私は大統領に何を質問したのか? そしてどんな回答がもらえたのか?

実は私、今から10年以上前の話ですが、アフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領に直接質問をした経験があります。

来日の際、広島を訪問をした後、カルザイ大統領が学生と対話をしたいというご希望で、当時大学院生だった私はたまたま縁あってその対話集会に参加できたのです。金属製品は身につけられない厳戒態勢だったので、時計も外す必要があり、大統領の両サイドには屈強なSPがズラリと並んでいたことを覚えています。

駐留米軍、汚職、核問題、武装勢力の統合、宗教などの質問があった中で、私がした質問とそれに対する大統領の答えは以下でした。

【Q】

お話を聞かせてくださりありがとうございます。そして、ここでお会いできたことを光栄に存じます。
 日本の『朝日新聞』で知ったのですが、明日、アフガニスタンから日本へのいにしえの贈り物を観覧しに奈良を訪問されるそうですね。新聞によると日本とアフガニスタンは1000 年もの間、歴史的文化交流がされているとのことでした。
 そこで私の質問ですが、この先アフガニスタンと日本の間でどのような文化的交流が可能でしょうか? 将来的展望で、アフガニスタンと日本と間の積極的文化的交流の可能性について、どのような考えをお持ちですか?

【A】

 とてもよい質問ですね。
 私たちの文化はとても似ていると思います。特に今回の訪問で類似点が見えました。1000年前、アフガニスタンの僧侶がラピスラズリの緑の高価な宝石を日本に持って来て、それが奈良の博物館に収められています。私たちがパスポートを持つ前に旅の交流は始まっていたのです。
僧侶はパスポートなど持っていなかったし、日本のビザをとってもいなかった。中国のビザもとっていなかった。インドのビザもとっていなかった。彼はとりわけヨーロッパのビザをとっていなかった。でも彼はここへ直接来たのです。 
 2つの文化の間での移動の自由は、それぞれの知的交流でした。その他、文化的類似性の重要な面は、人々が父親や母親、そして社会に対して尊敬をするという礼儀、正しさやしつけの文化を私たちは持っていることです。私は、特にその点で、日本とアフガニスタンは同じだと思います。
 そして、住環境において言えば、わたしは日本の学生たちがどのように過ごしているかということに驚かされました。
 昨日、私は国会、諮問委員会、議会にいたのですが、そこには地方から訪れている子供たちもいて、彼らは私が外国から来た誰かだということを知りました。そして、私が彼らのそばへ近寄ると、彼らは元気いっぱいに盛り上がりを見せました。私はまるでアフガニスタンのようだと感じたのです。
 しつけという点で、残念ながらアフガニスタンでは衰退しています。私たちは、日本からもう一度しつけを取り戻し、回復させなければいけません。それは、文化的に必要な点だと思います。我々の社会においては、目にみえないものが多くありますが、私たちはそれもシェアしています。
 アフガニスタンで私たちが家に入るときも靴を脱ぎます。これらは、特に他の文化からきたものでしょう。 みなさんはもっとこの文化的類似点を感じることでしょう。彼らは靴を脱いで部屋に上がり、マットレスに座ります。イスに座らないということも、日本と文化的に似ている点です。
 私も自分の家や部屋ではイスに座りません。私はマットレスの上に座り、本を読んだりテレビを見たりします。 私は、大統領官邸にいる時だけイスに座りテーブルを使って過ごしているのです。
 以上のことから、互いに多くの文化的類似点があり、よいものを私たちは持っています。 それは、世界を超えてシェアされているのです。

(出典:「特集アフガニスタン」内藤正典)

質問は準備が8割

上記は英語で質問し、英語で回答していたので翻訳された文章ですが、大統領からの実際の第一声は、「Very very good question!」だったと記憶しています。大統領に誉められることなんて一生に一回もないことだと思うので嬉しかったのですが、なぜ誉めて頂いたのか、自分なりに考えてみました。

まず私は、事前に何を質問しようかを考え、なぜ大統領が来日するのか情報を集めました。すると、日本の歴史や文化、アフガニスタンとの関わりに興味を持たれていることを知りました。

事前に相手のことを知ろうとし、本人が関心を持っていることを質問したこと、それが評価のポイントだったと思います。まさに質問は下調べが大切で、準備が8割だと知らされました。
また、汚職や核問題、軍事に関するシビアな質問ばかりだったため、私の質問はもしかすると空気を和らげるような一息つけるものだったかもしれません。場を読んだ質問ができるかどうか、臨機応変な質問ができないか心がけたいものです。

相手が地位のある人だったり、有名人に質問をすることは勇気が入ります。しかしその答えは、一生自分に残ります。そしてもし誉められたのであれば、自分の自尊心さえ高めてくれます。

冒頭に書いたように、いい質問は、いい人生をつくってくれるのです。

臆せず勇気を出して尋ねてみる。

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2021年 11月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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