ダ・ヴィンチの華麗なる“売り込み方法” 相手が思わず採用したくなる「5大戦略」

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あのダ・ヴィンチも、実は転職活動をしていた

ルネサンスが生んだ偉大な巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチ。アートや科学、様々な学問にも精通していた万能人ですが、最初から成功していたわけではありませんでした。

自身の名前の由来でもあるヴィンチ村に生を受け、移り住んだ花の都・フィレンツェで青年時代を過ごすものの、なかなか芽が出ませんでした。芸術家を輩出する工房で下積みを重ね、20歳で親方の資格を取得しても、すぐには独立することはできず、しばらく師匠の工房の仕事を手伝いました。

どんどん周りのライバルたちは絵画の仕事を受注していく中、自分にはまだ代表作といえる作品がないと、焦りを感じていたことでしょう。息子を心配していた父親のコネで仕事の依頼を受けるものの、結局、完成させることができずに終わりました。

そして、30歳という節目のタイミングで、転職を考えます。ダ・ヴィンチの転職は、実に思い切ったものでした。なぜなら、新しい分野へのチャレンジであり、また住み慣れたフィレンツェを離れ、ミラノという新天地を選んだからです。

ダ・ヴィンチが書いた自推状の10箇条に仕掛けた秘密、わかりますか?

ダ・ヴィンチは、ミラノの統治者であるルドヴィーコ・スフォルツァに向けて、自分を売り込む自推状を書きました。『アトランティコ手稿』というノートに書き残されているのですが、10個のことが書いてあります。


私は兵器を発明する秘密の技術を持っています。もし私を採用して頂ければ、いつでもその効果をお試し致しましょう。

1.軽量で丈夫で、持ち運びのできる橋のアイディア

持ち運びできる丈夫な橋を造る方法を知っております。
また、敵の橋を燃やし、破壊する手段も持っております。

2.攻城戦で役に立つ数々の攻撃用兵器

要塞を包囲し攻撃するために、堀の水を空にする方法を知っております。
また、ハシゴやその他の必要な諸道具の制作方法を知っております。

3.砲撃が不可能な城を攻略する方法

もし要塞が高く、またその場所が堅固で、砲撃で陥落させることが難しい場合、たとえ岩の上に建てられていたとしても、あらゆる岩や要塞を破壊する手段を心得ております。

4.散弾を放つ持ち運び容易な大砲

便利で持ち運びやすい大砲を作る方法を知っております。
煙によって敵に恐怖を与え、重大な損害と混乱を引き起こし、まるで嵐のような小石を発射いたします。

5.敵に気づかれることなく、抜け穴を掘る方法

堀や川の下を通り抜ける必要がありましても、秘密の地下道や通路を通って、目的地点にたどり着く方法を知っております。

6.装甲に覆われた戦車

安全で攻撃されることのない蓋つきの戦車を制作できます。
この戦車の大砲で壊滅できない大軍など存在しません。

7.これまでにない火器

普通の大砲よりも美しく有用な大砲や軽砲を制作します。

8.砲撃が不可能な場合に役立つ投石機など

大砲が使用できないところでは、投石機など、一般にはほとんど使われていない機械を製作いたしましょう。
さまざまな場合に応じて、無限の攻撃と防御の手段を考案します。

9.砲撃に耐える船のアイディア

また、もし戦闘が海で行われるような場合、攻防両用に極めて効果のある多くの機械を発案し、より大きな大砲の砲火や、火薬、煙に対抗する船を造ることも可能です。

10.平和時には、建築、土木、彫刻、絵画を

平和な時代には、建物や運河の建設において完全な満足を与え、他のいかなる人にもひけをとらないと確信をしております。
また、彫刻や絵画は他の誰よりもうまく描けます。
青銅の馬の制作ができます。

スフォルツァ家の不滅の栄光と永遠の名誉を記念するためであります。

以上、列挙したどれかが不可能で実行できないと思われるならば、
お気に召すどんな場所でも試す用意があります。
謹んで、以上の通り、推薦するものであります。


文面を見てわかるように、ダ・ヴィンチの転職の仕事、それは、軍事技師だったのです。

ダ・ヴィンチに学ぶ採用を高める5大戦略

この自推状が本当に読まれたかどうかはわかりませんが、事実、ダ・ヴィンチはミラノに渡り、ルドヴィーコ・スフォルツァというパトロンに採用されて新生活をスタートしています。

この自推状の素晴らしいポイントを、5つに分解して解説してみたいと思います。

まず1つ目は、相手のニーズを満たしているということ。戦乱の世の中にあって、軍事技師という職種は、まさに時代に求められていました。

2つ目は、自分の能力を未来進行形で捉えていること。ダ・ヴィンチは専門的な軍事の知識はなかったものの、工房でそれなりに武器や家具などの修理もしていたため、その延長線上にいる未来の自分を想定し軍事技師にチャレンジをしました。今できることだけで自分を計らないことがポイントです。

3つ目は、10個も提案内容があったこと。そして、この10個のうち最も核となる項目は、3番目の難攻不落の城を攻略することではなかったかと思います。10個も出すのは難しいでしょうが、よく見てみれば他の9つは、具体的な特典のような役割を果たしているのです。私は最近色々なオンラインセミナーに出ていますが、たいてい何かしらの特典が用意されています。それは単純に、特典があるほうが相手に喜ばれ、最終的な採用率も高まるからです。

4つ目に、冒頭に“秘密の技術”と謳っていること。他の人には真似できないことなら、この人に任せようという気持ちになります。

5つ目は、最後の10項目で、彫刻や絵画、つまり本当に自分が望む芸術作品を作りたいという意思表示をしているところです。相手の要望を前の9つで徹底的に満たした後に、自分の要望を入れる巧妙な戦略が見え隠れしています。

この5つのポイントを自分の提案にカスタマイズし、できるだけ盛り込むことで、採用率が上がるはずです。

次回は、どのような特典をつける方がいいのか、具体的に解説をしていきます。お楽しみに!

ニーズを十分に満たしから、要求を伝えよ!

旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン    2021年 10月 公式掲載原稿 
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/) 

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