レオナルド・ダ・ヴィンチとは?
ルネサンスの万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは、世界一の名画『モナ・リザ』を描いた画家として有名ですが、それ以外にも、彫刻、音楽、建築、舞台演出、都市計画、乗り物の発明、軍事兵器、解剖学、天文学、幾何学、流体力学・・・など、さまざまな分野で活躍をしたスーパーマルチ人間です。
なぜこれほどまでに多方面の活躍ができたのか、単純に不思議に思いませんか???
単に生まれながらの天才だったから??? 実はそうではありません。
ダ・ヴィンチも自分の才能が思うように認められず、挫折をしたり絵画を完成できずに悩んでいた1人の人間でした。
しかし、うまくいかないことに直面しても、人生を切り開く独自の考え方を持ち、絶え間ない試行錯誤の実践が彼を万能の天才へと押し上げていきました。
人間の才能は、先天的な才能と後天的な才能の2種類がありますが、ダ・ヴィンチは先天的な才能に加え、後天的な才能もフルに発揮した人物です。本記事では、ダ・ヴィンチの残したノートを分析して体系化された7つのダ・ヴィンチ力について要約します。
その前に、“ダ・ヴィンチ・ノート”ってそもそも何なの? という疑問があると思うので、一体どんなノートなのかご紹介いたしましょう。
ダ・ヴィンチ・ノートとは?
ダ・ヴィンチ・ノートとは、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが残した直筆のノートのことで、
現存しているノートは約8,000ページ。歴史の過程で失われてしまったノートもあり、現存していれば20,000ページ以上はあったのではないかと推測されています。実際に20世紀に入ってから、スペインで発見されたマドリッド手稿というノートがあります。こちらは「ファクシミリ版」という精巧に作られたマドリッド手稿のコピー本で、日本語にも翻訳されています。すでに絶版になっており、時々オークションに出品されているレアな書物です。
もしかすると、まだ世界のどこかに日の目を見ずに眠っている天才のノートがあるのかもしれません。
さて、現存しているノートの名称はさまざまで、
アトランティコ手稿、トリヴルツィオ手稿、鳥の飛翔に関する手稿、パリ手稿、アシュバーナム手稿、解剖手稿、アランデル手稿、マドリッド手稿、レスター手稿、フォースター手稿、ウィンザー紙葉、ウルビーノ稿本と呼ばれるノートがあります。
このうち、レスター手稿というノートは、ビルゲイツが28億円で落札していて、世界で最も高価な本として知られています。全部のノートをもし購入できるなら、単純計算でなんと3,000億円を超える価値があります。
これらのノートをひもとけば、天才の頭の中がわかり、私たちの人生をより豊かにするアイディアが見つかるのではないかと思い立ち、その研究成果をまとめた本が拙著『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』です。
超訳ダ・ヴィンチ・ノート
『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』は、ダ・ヴィンチの名言を引用しながら、7つのダ・ヴィンチ力について解説をしています。
そのダ・ヴィンチ力とは何かというと、
- ① 自尊力
- ② 没頭力
- ③ 洞察力
- ④ 創造力
- ⑤ 対人力
- ⑥ 実践力
- ⑦ 幸福力
の7つです。簡単にその力の意味と、掲載している具体的な項目をご紹介いたします。
自尊力
① 自尊力は、自己肯定感のさらにその一歩先を行く力です。ありのままの自分でいいと認めることができて初めて、人は前に進むことができます。さらに力強く前進していくためには、自尊心を高めることが必要です。挫折を味わったダ・ヴィンチは、どのように人生を切り開いていったのか、その秘密の原動力が自尊力です。
〜・欠点は無視して、裏側にある長所を伸ばせ・勝者とは始める人ではなく、続けた人のこと・パーフェクト・ロールモデルを持てなど〜
没頭力
② 没頭力は、自尊力を身につけると自然と湧いてきます。物事を成し遂げるために必要な力、フローとも言われますが集中してやり切る力が必要です。ではどうすれば、没頭できるのか。ダ・ヴィンチなりのコツを、例えば名作『最後の晩餐』の描き方を通してご紹介しています。
〜没頭のみが輝かしい未来を開く・なぜを5回以上重ねろ・やると決めたら1ミリも残さずやり切るなど〜
洞察力
③ 洞察力は、本質を見抜く力です。ダ・ヴィンチは流行や常識に流されず、自分自身の目で確かめ、独自の主張をしていました。周囲に流されずに、科学者の視点で論理的に物事を考えていました。何が世界の真実なのかを追求した哲学者でもあり、本質を見抜く洞察力は、500年経った今でも通用する普遍的な力です。
〜・死を念頭において生きろ・言説を信じるな、現地を当たれ・流行に流されないスタイルを1つ持てなど〜
創造力
④ 創造力は、ダ・ヴィンチの芸術に遺憾無く発揮されています。世界的名作『モナ・リザ』を生み出した思想やアイディアは何だったのか気になりませんか? AI時代の今日、人間にしかできない発想・クリエイティビティが必要とされています。ダ・ヴィンチは画期的なイノベーションをしたというよりは、既にあるものをうまく活用したリノベーションタイプの芸術家でした。
〜・「対極のもの」がインパクトを生む・ミステリーを残せ・才能はカオスの中で目覚めるなど〜
対人力
⑤ 対人力は、無人島で1人で生きるのでない限り、誰でも必要とする力です。ダ・ヴィンチはイタリアではフィレンツェとミラノを行き来し、晩年はフランスに渡っていますが、君主や王様のパトロンたちから引っ張りだこでした。それは類稀なピカイチの才能に加え、人間的にも魅力があったからです。天才の交渉術は現代の私たちも学ことがあります。
〜・孤独が才能を育てる・意外な人ほど、いい先生になる・いつでも予想を超えた演出を心がけよなど〜
実践力
⑥ 実践力は、ダ・ヴィンチの核となる力です。「経験の弟子レオナルド・ダ・ヴィンチ」という言葉を残していますが、ダ・ヴィンチにとって、経験こそが先生でした。インプットのみならず、アウトプットすることで成長は加速していきます。ダ・ヴィンチに倣って、どんなことを実践していけばよいかが学べます。
〜・メモ魔になれ・2冊のノートを使い分けろ・視覚は文字を圧倒するなど〜
幸福力
⑦ 幸福力は、読んで字のごとく、幸せになる力。ダ・ヴィンチにとっての幸せとは何だったのか。真の財産であり、真の報酬は“徳”であると言っています。その徳は、自分の欲望を満たすこととは対極的な概念です。ただ単にお金を稼ぐことが幸せではありませんでした。天才が考える幸せとは?
〜・人を愛するにはコツがある・やりたくない仕事は断れ・幸せにする対象を拡大し続けよなど〜
舞台『学芸員と鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート』
『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』は、ダ・ヴィンチ没後500年を記念して出版され、翌年には韓国語に翻訳され出版されています。
そして、2025年に東京・大阪で公開となる舞台『学芸員と鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート』の参考資料に選定され、文庫本として再度出版されることになりました。
舞台の脚本は劇作家の小林賢太郎さんが作成されています。
小林さんは芸大出身で、レオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会に行ったことがあったそうです。その時に購入した図録を読まれたそうですが、専門的な内容すぎてあまり面白くなかった。そこでもっとわかりやく面白く解説している本がないか探したところ、『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』に行き着いたと言われていました。
そんな小林さんに、有り難くも文庫本の帯にコメントを頂けることになりました。
「著者はダ・ヴィンチを研究しているというより、受信しているように思えた」
小林賢太郎
受信という表現が独特で、これ以上ない褒め言葉だと感じています。
文庫本にあたり、新しく前書きを追加で書かせてもらい、古い情報はアップデートしました。
ぜひ、舞台化・文庫化された『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』に触れて、天才の思考をインストールしましょう。