優れた会話は二刀流
レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密の会話術の「共感コミュニケーション」と「驚嘆コミュニケーション」について、今回も実践編ですが、リアクション編となります。
人間は、言葉を使ってお互いに伝達し合います。どんな内容を伝えるか、会話の中味ももちろん大切ですが、どう受け止めるかも同じくらい大切です。
受け止めると聞くと、「うんうん」と相槌を打ったり、「そうだね」「わかる」「なるほど」「確かに」と共感の言葉を伝える受容の姿勢を思い浮かべますよね。心が通じ合う会話のベースに「共感コミュニケーション」があると、安心してお互い話し合うことができます。
ただし、こういった「共感コミュニケーション」は“守り”の姿勢止まりです。「この話は心に響いた!」と、相手に印象を残す会話にするには、「驚嘆コミュニケーション」を加えるのがおすすめです。
“攻めの姿勢”である「驚嘆コミュニケーション」も活用する二刀流ができると、レベルの高い会話が実現できます。
以前、会話のレベル別内容と【理論編】について記事を書いていますので、よろしければご覧ください。
そして、この「驚嘆コミュニケーション」をリアクションに用いるというのが今回のテーマです。
オーストラリア人から聞いた驚きの一言
これからお話しすることは、私がオーストラリアのシドニーに行った時の話です。シドニーというと世界文化遺産ともなっているオペラハウスが有名ですが、私は「ワールド尺八フェスティバル」が開催されるということで行ってきました。
日本の伝統楽器である尺八の音楽祭が、シドニーであるなんてびっくりしませんか? 先住民アボリジニの金管楽器であるディジュリドゥとのコラボ演奏があったり…、この話はちょっと長くなるので割愛しますが、初めて現地の人たちと触れ合う機会がありました。
それで最終日、電車で空港に向かおうとしたところ、切符売り場が見つからず、その辺をうろうろしていたのですが、それを見かねた駅員さんに「どこへ行くの?」と声をかけられました。
「今日、日本に帰るので空港に行きたいです」と伝えると、「何時の飛行機?」と聞かれ時刻を伝えると、その駅員さんは、腕時計に目をやり、英語で一言ほほえみながらこう言いました。
「Beautiful」
ビュ…、ビューティフル??? ときましたか!!
割と時間に余裕を持って行動していたので、それを好意的に評価頂いたのだと思いますが、予想外の言葉にびっくりしました。
もし自分が逆の立場だったら、「Good!」や「No Problem」と言っていた気がします。その後、切符売り場の場所も教えてもらい、無事空港にもたどり着けました。
相手が想定していないポジティブな言葉を投げかける、そうすると受け手の気持ちも変えることができるのです。
これは英語でしたが、日本語でも同じようにできますよね。このような想定外の特別なリアクションを、私は“スペシャルリアクション”と呼んでいます。
他にも、アメリカ人と話していて聞いたスペシャルリアクションがあります。「OK」の代わりに聞いた、「Perfect!」や「Super!」という一言です。「す、す、すーぱー!?」と思いましたが、ネイティブの方が使う強烈な前向き表現に感動しました。
SNSはリアクションの宝庫
「一ひねりある前向きな言葉を使うのがいいことは分かった。でも、どんなリアクションをすれば相手の印象に残るの?」。こんな声が聞こえてきそうです。なかなか自分の中から湧いてこないことも多いと思います。
そんなときにおすすめが、SNS上でシェアされているリアクションを参考にするというものです。
たとえば、本田翼さんがInstagramにお気に入りの服を着てアップした写真にコメントが殺到したのですが、
「可愛すぎる」
「最高の笑顔」
「圧倒的女神感」
などの好意的な反応がある中で、個人的に一際目を引いたのが次のコメントでした。
「天使かと思ったら、天使だった」
普通は、
「天使かと思ったら、本田翼だった」
のところ、結論も天使にしていることで、いかにステキな存在であるかが強調されています。
このリアクションがとても心に残ったので、実は自分も真似してSNSに投稿したことがあります。ある日、何気なくFacebookを見ていたら見覚えのある人の広告が流れてきたんですよね。
「なんか自分みたいな人だな…、あ、てゆーか自分だ!!」
以前、一度だけメンズモデルをしたことがありまして、その時の画像が流れてきていたのでした。まさか自分の画像が流れてくると思ってなかったのでびっくりです。そこでFacebookにこう投稿しました。
「自分かと思ったら、自分だった」
やはりこのフレーズはインパクトがあり、反響がいつもより多く複数コメントがつきました(パックしている自分の顔がシュールで面白いという声もありましたが💦)。
誰もカンタンには思いつかない返しをするのはハイレベルなことではありますが、誰もできないからこそ、すごく印象に残るのです。日頃から言葉のセンスを磨き、必殺の一言でリアクションできるようになると、人間関係も格段によくなっていきます。
SNSにアップされるリアクションの数々、ぜひ秀逸なリアクションをコレクションし、ご自分でも使ってみてはいかがでしょうか。
ではまた!
旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン 2022年 1月 公式掲載原稿
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/)