サカナクションの山口さんと読み解く『レオナルド図鑑』
先月東京の代官山で行われた講演、
サカナクションの山口さんと読み解く『レオナルド図鑑』を聞いてきました。
山口一郎さんは、昨年NHKで放送されたレオナルド・ダ・ヴィンチ特番に出演され、
ルーヴル美術館に行ってます。
真夜中のルーヴル貸切状態で、夜11時から朝の4時まで撮影をされたそうです。
その際に、普段は遠くからしか見れない『モナ・リザ』を至近距離で見て、
目では見えない質量みたいなものにすごく感動していたということが分かったと言います。
山口さんは、ダ・ヴィンチの作品と対面してこんなことを思いました。
「真のオリジナリティとは何か?ダ・ヴィンチからヒントを得たい」
「何百年も人を惹きつける秘訣は何か?500年後に残るものを今作るにはどうすればいいか?」
クリエイターならぜひ知りたい疑問だと思います。
その回答をどう見つけられたのか、講演の中から振り返ってみたいと思います。
ダ・ヴィンチから学ぶ傑作を生み出す秘訣
山口さんは「特に感受性を揺さぶられた作品は?」という質問に対して、
『岩窟の聖母』
という作品を選んでいます。
ルーヴル美術館にあるダ・ヴィンチの傑作です。
「植物や岩のディティールにもコンセプトや意味があり、音楽との共通性があると思った。
実際に生えているはずの植物や岩を描いている。
フィクションだけどノンフィクション。
音楽でも同じ、いかに本当のことであるか。
フィクションでもいかに自分の中にある本質を表現できるか。
岩窟の聖母は、全部がつながっていて美しさもある。バランスもすごい。
絵以外の知識も必要ですよね。」
虚構というウソの世界がウソに見えない本物らしさ、
それをいかに表現できるかがアーティストの腕の見せ所。
また、音楽にアートやテクノロジーを融合してきた山口さんは、
絵の中に絵以外の要素が盛り込まれていることに気がつきます。
実際、ダ・ヴィンチ絵画は、植物学、地質学のみならず、解剖学・幾何学・哲学など
”あらゆる学問を総動員した知と技の結晶”なのです。
Q ダ・ヴィンチの絵は今後の音楽活動にどんな影響を及ぼすか?
山口さんは、音楽以外のことをやっていたとき、
そんなことやるくらいなら曲作れと批判されたと言います。
「恋愛、政治や社会を知ることが音楽を作るとしっくりきていたのに批判されて迷っていた。
ダ・ヴィンチは絵を描くために研究をした。
間違ってない、正しいという確信を得た。
1つの歌詞ができるのに、半年や1年かかる。
接続詞1つでも2ヶ月迷う。その間、人とコミュニケーションとらない。
自分はふつうじゃない人だと思っていた。
ダ・ヴィンチは絵を描いていたのに放り投げて他の国に行ったり、いきなり興味を失う。
自分も間違っていない、狂気であることはいたって普通のこと。
今まで迷っていたことが、しっかりアクセルを踏めるようになった。
レオナルド・ダヴィンチだ!みたいに叫ぶ歌は作れないが、0を1にするのに役に立った。」
サカナクション山口一郎とレオナルド・ダ・ヴィンチの共通点
2人の共通点は、むやみやたらに人と会わないこと。
どことなく雰囲気似てる気がしますよね。
山口さんは、このように言っていました。
「人と会わないのがいい。
”メールは暴力”だと思う。
会話は飛んでくるボールが分かる。
メールはいきなりボールが飛んでくる。そして、何で投げ返さないのかと言われる。まさに暴力。
常に考えているので、邪魔しないで欲しい。だから友達いなくなってしまう。
ダ・ヴィンチも友達少ない。友達多い人は信用できない。」
の中にも、”ダ・ヴィンチ力”の1つである対人力に触れ、
孤独と人付き合いのバランスの取り方 について1章書いています。
ダ・ヴィンチの言葉を紹介しましょう。
才能を育てるためには、あなたは孤独でいる方がいい。
特に考えに集中しているときはなおさら。
考察したものを常にイメージすることによって、
しっかりと記憶できるから。
もしあなたが1人なら、あなたのすべてがあなたのものだ。
ところがたった1人でも連れがいれば、あなたは半分になる。
付き合いが増えれば増えるだけ、あなたは何もできなくなる。
つまり、もしあなたが大勢の人と一緒にいればいるほど、不自由な人生を送ることになるよ。
(パリ手稿A)
クリエイターには、孤独な時間が必要、
いや、クリエイターでなくても、何か大きな成功を収めようとするなら、
自分だけの時間を確保することが大切です。
サカナクション山口一郎さんとダ・ヴィンチの対話を通して、
色々知らされることがありますね。
ぜひ、自分の人生にも取り入れていって頂ければと思います。