目指すは「地球や宇宙に役立つ人材」
前回の記事では、「ダ・ヴィンチ的な活躍をする菅田将暉の意外な原点とは?」について、レオナルド・ダ・ヴィンチと菅田将暉さんの共通点を通してご紹介をしました。
今回は、『3兄弟のあしあと』(辰巳出版)という子育て本を出版された菅田将暉さんの母、菅生好美さんの出版記念講演会で学んだことを共有したいと思います。
菅生好美さんは美容サロンを経営しながら、「輝く未来の地球や宇宙に役に立つ心豊かな人材を育成し、教育する」を理念にライフバランス協会を設立されています。
菅生大将が本名の菅田将暉さんを長男に、次男の健人さん、三男の新樹さんという3兄弟。個性豊かに才能を発揮する彼ら3人をどのように育てたのか、そのエピソードが紹介されている本です。
地球や宇宙に役立つ人材を育てるときには、何が大切なのか。いくつかポイントをご紹介したいと思います。
父から出される毎日の課題「今日よかったこと3つ」
3兄弟はとても仲がよく、お互いをリスペクトしています。例えば著書の中で、菅田将暉さんは次男の健人さんについてこう言っています。
「一番父に似ていて多彩、極められる人。ただ、その分人に理解されないことが多く、『天才の孤独』の典型みたいな人。端的に言うと、面白くて変な人かな。それでいて、頼られると断れないし、仕事ができて頼りがいがあるから人が集まる…。そして、たまに疲れちゃうような優しい人でもあります。」
三男の新樹さんについては、次のように印象を語っています。
「ピッカピカの水晶体みたいに素直、素直、素直! とことん人が好きで想いを伝えることが上手。自分が知らないものも大好き。感受性豊かで好奇心旺盛なコミュニケーションの達人だね。」
兄弟同士お互いのよさを認め、尊重できる関係ができたのは、やはり家庭教育が影響しています。子供がすくすくと成長していくために必要なこと、その1つが自己肯定感です。
欧米諸国に比べると日本人は自己肯定感が低く、自分の存在価値を感じられない人が多いと聞きます。実際に、内閣府が調査した若者白書(2018)では、「自分自身に満足している」「自分自身には長所がある」の項目が諸外国に比べて著しく低く、1~2割の若者しか「そう思う」と肯定的に捉えられていないことが報告されています。
(※出典:内閣府 若者白書「特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」)特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~|令和元年版子供・若者白書(概要版) – 内閣府 (cao.go.jp)
そこで、菅田将暉のお父さんが課した毎日の習慣が、「今日よかったこと3つ」を家族みんなでシェアするというものです。3つも思いつかないな、という日でも、「今日は天気がよかったから気分がよかった」など、どんな小さなことでも発表するようにします。毎日よかったことを考える習慣をつけることで、家族全員がポジティブ思考になっていったそうです。
「終わりよければすべてよし」という言葉があるように、いいイメージで眠ることで潜在意識もどんどん好転。誰でもできる何気ないことですが、続けることで豊かな人生が開けてくるのです。
どんな出来事も、子どもの成長に有効活用
講演会の最後に紹介された、三男の新樹さんが2歳くらいの時に起こした牛乳ビンにまつわるエピソードが印象的でした。
朝食のあわただしい時間に、毎日配達をしてもらっていた900ミリリットルの牛乳ビンを受け取りに行くと立候補した新樹さん。初めて持った牛乳ビンの口元を両手でつかむようにして持ち、食卓に向かいました。するとその瞬間、手からビンが滑り落ち、ガラスの破片が飛び散るように派手に割れてしまったのです。新樹さんはミッションを失敗したことに気づき大泣きします。
さてこの時、皆さんが親なら第一声、何と言うでしょうか?
「怪我しなかった?」
と冷静にとっさに言葉が出ればいいのですが、朝のバタバタする時間帯、牛乳も染みつくと臭くなるし、余裕がないときはイライラして怒ってしまうかもしれません。しかし、怒ったところで事態はよくなるどころか、朝食を囲む皆の雰囲気は悪くなり、何よりせっかくチャレンジした息子はもう二度と行動を起こそうとしなくなります。そこで、お母さんは気持ちを切り替えたといいます。
「こんなガラスを片づける掃除を見せる機会はない、掃除の仕方を教えるいい機会だ。そして、どうせなら玄関を徹底的に大掃除しよう」
掃除の仕方を教える機会に転換し、牛乳ビンの正しい持ち方も教えます。“怒る”よりもやり方を“教える”ほうが建設的であり、チャレンジしようとする芽をつまずに済むのです。
このような場面場面で、子供の成長を促すことが大切な親の役目なのだと感じます。
なぜ菅生家は、外でもハグし合うのをいとわないのか?
親として子供に何を伝えればいいか、それは一言で言うと“愛”でしょう。
以前、シンガポールの小学生が「スマホになりたい」と書いた作文が話題になりました。これはどういうことかというと、小学生の男の子が、「両親を呼んでも適当な心ない返事ばかりで、自分を見ずにスマホばっかり見ている。だからそのスマホになりたい」と言ったわけです。子どもが愛情に飢えていることを表すわかりやすい例ではないでしょうか。
出版記念講演会の中で、菅田将暉さんのお父さんがこう言ってました。
菅生家のクレド(行動指針)は、「笑い、集い、感謝」。
その根底には相手に対する愛情があります。
菅生家では、外で人目があろうと気にせず、お互いハグをすることが当たり前の習慣になっているといいます。一家だんらんを実現させる秘訣はまだまだ語られていたのですが、字数制限の関係で、今回はここまで。
気になる方は、菅生好美さんの初の著書『3兄弟のあしあと』(辰巳出版)をお読み頂ければと思います。
旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン 2021年 12月 公式掲載原稿
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/)