ダ・ヴィンチのセンスを磨く習慣
ルネサンスの万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは、言わずと知れた芸術家で『モナ・リザ』や『最後の晩餐』などの傑作を生み出しています。
そんなダ・ヴィンチは一体センスを磨くために、どんなことを習慣にしていたのでしょうか?
それは多くの画家がするように「模写」をしていました。たとえば、こちらはダ・ヴィンチがスケッチした『最後の晩餐』の下絵です。実際の完成版と比べるとだいぶ人物の構図が異なります。すでに他の画家たちが描いた『最後の晩餐』を参考にし模写をする中で、自分ならどう描こうかを考えているのです。
こちらは、オランダの巨匠レンブラントが描いた『最後の晩餐』の模写です。レンブラントの作品も、人物の構図はダ・ヴィンチを模していますが、背景が少し異なります。完全にそのまま模写するのも上達する上で大切ですが、偉大な画家たちは自分の個性を出すために、オリジナリティを考えながら描いていることが分かります。
センスを磨くために必要なことは、まず優れた作品をよく見ること。次に、自分ならどう表現しようかを考えること。問題は、このオリジナリティの部分を生み出すために、自分の中に感性の引き金となるストックを持つことです。
芸術家であれば、日頃アートに触れることが多いですが、そうでない人はどうすればいいでしょうか?
『プレバト!!』のススメ
感性を磨くために時には美術館に行ったり、デザインチックな家具売り場を見に行くこともいいでしょう。
個人的におすすめは、MBS毎日放送『プレバト!!』(毎週木曜19:00~20:00)
という番組を見ることです。『プレバト!!』は2012年から10年以上続いている人気番組で、元々の番組名は、『使える芸能人は誰だ!?プレッシャーバトル!!』で、現在は略称が番組名になっています。
水彩画、俳句、消しゴムハンコ、スプレーアート、絵手紙など、バラエティに富んだアート分野で、芸能人の才能査定ランキングが行われます。
その分野で活躍する第一人者が先生となり、芸能人の作品を講評し、才能の有無を「才能アリ」「凡人」「才能ナシ」の3つで判定します。
番組を見ていて勉強になるなと思うことは、査定をする先生が自分ならこういう作品を作るというお手本を示してくれるので、何がよくなかったのか、どこを変更した方がよかったのか、Before/Afterが一目瞭然で分かるところです。
優れた人の見方や描き方の技術を楽しく学べるので、毎回見ていて勉強になります。見逃した場合は、TVerでも1週間配信されているので、スマホやパソコンからでも好きな時間に見ることができます。
実際に先生から学ぶチャンスをつかむ
さて、もう1つ大切なことがあります。TVで見てなるほどなと感心するところから1歩進んで、実際に自分もアート体験をしてみるということです。
『プレバト!!』で活躍中の光宗薫さんという方がいます。元AKB48出身で、今は絵画アーティストとして活動し、役者もされています。
光宗さんは、番組でも“天才”と言われ、水彩画やスプレーアートなどの分野でライバルを押し退けて何度も1位を獲得しています。
いつも圧倒的な画力で査定の先生をも驚かせている光宗さんですが、水彩画のワークショップを人数限定で開催されました。
https://t.livepocket.jp/e/4d0p8
私は幸い参加することができましたので、どのような内容だったかを共有します。
筆や絵の具はあらかじめ準備されてあり、また光宗さんが描いた花のスケッチが配られており、そこに塗り絵をするワークでした。
光宗さんオリジナルキャラクター「はげたん」も描かれています。
左の写真を手本にし、光宗さんの指導をもとに着色するのですが、必ずしも花びらはピンク色に塗る必要はなく、自分の好きな色で塗ってよい、と指示があり自由度が高かったです。私は手本をなるべく真似てみたかったので、近い色合いを目指しました。
まずは、花びらの全体の色を水多めに含ませて薄く塗り、それから1枚1枚に色を塗り重ねていく手法を教わりました。光宗さんが教室を回ってくれて、1人1人に声をかけてくれ、進行状況に対してコメントをくれます。その際、塗り方がわからなかったら自由に質問をすることができるので、積極的に質問をしました。たとえば、
「花びらの色が薄く見えるところは、上から白色を塗って良いのですか?」
と聞いたところ、
「水彩画は色を塗り重ねると濃くなってしまうので、白く見えるところは最初から色を塗らずに残しておくほうがいい」
と教えて頂き、とても勉強になりました。
私の水彩画は、最終的にこのような形で仕上がりました。
真ん中にあるポストカードは光宗さんのお手本です。比べてみると違いがわかり、自分で実際に手を動かして描いてみることで、お手本の素晴らしさを実感することができます。
キャラクターのはげたんにリボンをつけてみたのですが、光宗さんには「かわいい」と言って頂き好評価でした。最後に自分のサインを入れて終了です。
ワークショップは、午前と午後、2回開催されており、私は午後に参加しましたが、午前はバラの水彩画のワークショップだったようです。
センスを磨くには、センスがいい人から直接教えてもらうのが最短ルート。
ぜひ皆さんも機会を捉えて、感性を高める学びをしてみてはいかがでしょうか。
それではまた!
旧:WEBマガジン・作家たちの電脳書斎 デジタルデン 2023年 2月 公式掲載原稿
現:作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部 (https://digi-den.net/)